留学生招致

日本語を話したい!世界の日本語学習人口と日本留学試験


会社や大学で留学生の日本語レベルを測る指標としてN1(エヌワン)、N2(エヌツー)などと聞いたことがあるだろうか。

例えば専門学校は入学希望の留学生に、N2以上の取得を条件としていたり、大学は、N1以上と設定している学校が多い。

本記事では、今後も一定の増加が見込まれる留学生をより知って頂くために登竜門となっている試験を紹介し、日本の企業や教育機関との相互理解がより深まることを願っている。


外国人留学生が日本の大学、大学院、専門学校に入学するには日本語能力試験(JLPT)と日本留学試験(EJU)を受験しなければならない。

彼らは留学生枠で入学してくるため、試験科目や条件は日本人とは異なる。

一般的に海外の留学生が日本の大学、大学院へ進学するためには受験しなければいけない3つの試験がある。

  1. 日本語能力試験
  2. 日本留学試験
  3. 各大学の入学試験

進学先や学部によって、必要なスコアや合格水準は異なるが、留学生の入学試験は日本のAO入試と似ていて、試験成績、学部試験、面接の総合点で合否を判断している。

進学先に必要な受験科目
進学先 日本語能力試験
JLPT
日本留学試験
EJU
2次試験
専門学校 面接のみが多い
一般大学 筆記試験と面接
上位大学
EJUを重視する大学が多い

成績次第で2次試験へ進めるか決まる
筆記試験と面接
大学院 試験と面接

日本語能力試験「JLPTジェイエルピーティー」とは

ロゴ

日本語能力試験(JLPT)とは、日本語を母国語としない外国人の日本語能力を測定し、認定する試験である。1984年から始まり今では世界85の国・地域で実施され、2019年7月には約64万人が受験した世界最大規模の日本語試験である。試験は毎年の7月と12月の2回開催され、110万人〜120万人程度の受験者数だ。日本のTOEICの受験者数が1年間で*266万人なのでその半分程度、意外と多いと感じるのではないだろうか。

日本語能試験は、日本留学を検討している外国人だけでなく、例えば大学が日本語専攻で自分のレベルをチェックしたり、仕事が貿易関連だったり、日本企業の現地法人で昇給の条件だったりと多くの方が活用している。

日本語能力試験は英検のようにレベルで合否が決まる

日本語能力試験には全部5つのレベル(N1・N2・N3・N4・N5)がある。「N5」が一番やさしく、数字が小さくなるに従いレベルが上がる。

  • N5: 基本的な日本語をある程度理解することができる。
  • N4 :基本的な日本語を理解することができる。
  • N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
  • N2:日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
  • N1:幅広い場面で使われる日本語を理解することができる。

出所:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E8%83%BD%E5%8A%9B%E8%A9%A6%E9%A8%93

試験問題の内容は3科目だ。

  1. 言語知識(以後、語彙・文法とする)
  2. 読解(以後、リーディングとする)
  3. 聴解(以後、リスニングとする)

各レベルにより問題の傾向も異なるが、例えば語彙・文法の科目では漢字と語彙の読み方、定番の「てにをは」文法、接続詞と助詞、語彙や短文の意味などが聞かれる。

リーディングでは、一般的な短文から長文はもちろん、応用問題としてポスターや掲示物の内容を基づいた問いもある。聴解は主に、日常生活の様々な場面、買い物・友達との会話・会社でのやり取りなどをもとに問題文を作られている。


■日本語能力試験 語彙・文法問題(レベルN5)
日本語能力試験 問題例


■日本語能力試験 語彙・文法問題例(レベルN1)
日本語能力試験(JLPT)問題例


合否判定は各レベルで異なるが、180点満点中80~100点を獲得できれば「合格」とされる。注意すべきは、各科目で最低ライン「19点(60点満点)」が設けられていることだ。例えばリスニング・リーディングどっちも60点満点、しかし文法で10点だった場合、たとえ合格ラインまで達したとしても、「不合格」となる。日本語を使ううえで、ある分野が著しく欠落してはいけないという趣旨だ。

日本語能力試験(JLPT)レベル別受験者数 2019年7月

レベル N5 N4 N3 N2 N1 合計
国内 受験者数 4,085 23,115 68,231 64,503 42,997 202,931
合格者数 2,520 7,452 24,513 21,885 12,660 69,030
合格率 61.7% 32.2% 35.9% 33.9% 29.4% 34.0%
海外 受験者数 49,088 56,616 68,019 99,931 73,863 347,517
合格者数 22,797 18,613 29,153 37,275 21,575 129,413
合格率 46.4% 32.9% 42.9% 37.3% 29.2% 37.2%

出所:https://www.jlpt.jp/statistics/archive/201901.html

日本語能力試験の合格率は大体30~40%ぐらいだが、ここで日本国内と国外のN4、N5の受験者の差に注目したい。日本国内の受験者が3万人弱である一方で、海外では12万人程度の受験者が存在する。

また日本国内の受験者は主にN1とN2に集中していることから、国内の外国人は難易度の高い試験を挑む人が多いことが分かる。それは次に紹介する、日本留学試験とも関連している。

N5とN4は海外受験者が圧倒的に多い

国内外の日本語能力試験(JLPT)レベル別受験者数

上位大学を目指すなら日本語能力試験はN1合格でも足りない

日本の大学へ進学したい留学生にとって、日本語能力試験は進学先を問わず、避けては通れない一番重要な試験である。日本語の授業を受けることができる能力の証明として、大体の学校はN1の成績を要求する(N2の成績が使える学校もたまにある)ことが一般的だ。また、合否よりも点数が重視されるため、N1を持っていても安心できない。

日本語学校を通う留学生たちは、主に日本語能力試験を中心に日本語を勉強している。N1をパスするためには、70分という時間の中で約40問の語彙・文法問題と10個の短文・長文を読み解かなければならないし、聴解の速さも日本語を聞き慣れていない学生にとってはそれなりのスピード感があるため、留学生にとってはかなりの難関と言える。

N1の成績を手に入れて、留学生は初めて学校に出願することができる。しかし、上位校を狙う人にとって、日本語能力試験のN1の成績ではまだ足りないのだ。逆に、彼らにとって日本語能力試験の成績はそこまで重要ではない。彼らには、日本語能力試験よりもずっと難しい試験、「日本留学試験」の成績も必要なのである。

日本留学試験(EJUイージェイユー)とは

日本留学試験

日本留学試験(EJU)は、進学目的以外に趣味や仕事の都合で受験する日本語能力試験とは違い、その文字通り、日本に留学するための試験、いわゆる留学生たちの「センター試験」だ。専門学校や一般の大学はこの成績を求めないところも多いが、上位大学を狙いたい留学生にとって、日本留学試験の成績こそが合格できるかどうかを決める一番肝心なポイントだ。ここから、その試験内容と実態を見ていこう。

日本留学試験は、日本の大学(学部)や大学院に進学を希望する外国人留学生が受験する、日本語力及び基礎学力の評価を行うことを目的に実施する試験だ。以下、その受験科目である。

  • 日本語
  • 理科(物理・化学・生物)
  • 総合科目(地理・歴史・政治)
  • 数学(理系数学・文系数学)

日本留学試験(EJU)の受験科目一覧

出所:https://www.jasso.go.jp/ryugaku/study_j/eju/about/publication/guide_for_school.html

留学生は、志望校が指定する受験科目を選択して受験することになる。その中で、日本語は450点満点、理科・総合科目・数学の200点満点である。日本のセンター試験と同じ、高得点を目指す試験で、上位者から合格していく。

日本留学試験は毎年の6月と11月、日本語能力試験と同じく年に2回実施される。ただし、海外では受験できる国・地域が限られているのが実情で、例えば中国国内では受験することが出来ない。そのため、海外で日本へ進学を目指す学生たちも、受験するために来日する必要がある。

後にも詳しく紹介するが、日本留学試験は日本の大学の講義を理解する日本語力かつ学力があるかどうかを測るための試験のため、その難易度は非常に高く、日本語科目だけでも日本語能力試験のN1よりもずっと難しい。さらに試験には丸一日がかりで行われ、3科目を受験する人は朝の9時から17時までずっと試験を受けなければならないため、留学生にとっては過酷な試験である。

日本語能力試験(JLPT)と日本留学試験(EJU)の違い

では、日本留学試験と前に話した日本語能力試験とは一体どのようなところで違っているのか、簡単にまとめてみた:

語彙・文法・リーディング・リスニングの3科目構成の日本語能力試験とは違い、日本留学試験の日本語科目は「読解」(リーディング)「聴解・聴読解」(リスニング)「記述」(ライティング)の3科目構成である。リーディングもリスニングも長文が多い。

日本語能力試験(JLPT)と日本留学試験(EJU)の出題傾向の違い
試験科目 出題内容 選択科目 イメージ
JLPT 語彙・文法 日本の生活がベース なし TOEICや英検の日本語版
リーディング
リスニング
EJU リーディング 大学の講義がベース 理科 センター試験に記述問題が追加
リスニング 社会
ライティング 数学

日本語能力試験と最も違う点は、日本留学試験にはテーマに沿って小論文を書くという記述科目があるところだ。この点、マークシート問題しかない日本語能力試験とは大きな違いで「日本語での意思表示ができる」ことが日本の大学が留学生に求めている条件と言えるのではないか。

日本留学試験 記述問題例

以下の二つのテーマのうち、どちらか一つを選んで400字から500字で書いてください(句読点を含む)。
①最近、インターネット上でもニュースを読むことができるようになりました。このような中で「ニュースは新聞で読む方が世の中の動きがよくわかる」という意見があります。これについて、ニュースをインターネット上で読むことと新聞で読むことを比較し、あなたの意見を書いてください。
②ある大学では、入学試験の方法として「学科試験を廃止し、面接試験だけで合格者を決めよう」という案が出ています。このような方法の長所と短所を説明し、あなたの意見を書いてください。

日常生活をベースに、様々な場面での日本語の応用を重視した日本語能力試験とは違い、日本留学試験の問題はすべて、「大学での講義」をベースにして作られたものである。リーディング問題は主に大学の教科書からの引用もしくはそれと同等の文章によるもので、聴解試験も、大学での講義を模擬したものによる問題である。

話の速度は日本語能力試験よりずっと早く、内容も日常会話ではなく大学での様々な科目の講義から引用されているため、日本で数年生活した経験のある留学生でも難しいと感じるだろう。

日本語能力試験(JLPT)は日本版TOEIC、日本留学試験はEJUは海外版センター試験

日本人学生に混じって講義を受ける程度の日本語力とそもそもの学力があるかどうかを測るための試験であるため、日本留学試験の日本語科目の難易度は日本語能力試験のN1よりもずっと難しい。文法知識・語彙・言葉の意味を単独の問題で聞く日本語能力試験に対して、日本留学試験は全ての知識をリーディング・聴解問題に総動員し、日本語の総合能力を測る。

日本語力以外に選択科目を受験する

大学に入るための学力があるかどうかを図るため、日本留学試験には日本語以外にも、理科(物理・化学・生物)、総合科目(地理・歴史・政治)、数学(理系数学・文系数学)という3つの科目がある。受験生は事前に自分の志望校が必修としている科目を調べ、どの科目を受験するかを決めなければならない。

この3つの科目は、日本のセンター試験と同等レベルの問題が聞かれる。例えば総合科目と文系数学を選択した経験のある留学生は、特に総合科目では日本の農作物の産地から欧米の近代化の歴史まで、細部にわたり知識を習得する必要があったと語っている。

日本留学試験には専門的な教科書が少ないが、その出題傾向は日本のセンター試験と似ているため、センター試験向けの教材を使えば十分に対策ができると考えている。

まとめ

様々な教育機関の留学生招致支援を行うなかで、日本に来ている留学生のバックグランドをもっと知るきっかけになればと思い、登竜門となる2つの試験を紹介した。

日本語能力試験(JLPT)のスコアが高くてもコミュニケーションが取れる保証がないのは、日本人がTOEICスコアが高くても話せないのと同じ理屈である。ただ、これらの試験対策を日本語でどれだけ対策して来たかを見るうえでは有効な参考資料になる。

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