【2025年改訂】海外送金手数料の3社を比較した結果


海外送金サービスを検討する際に、送金手数料の安さだけに気を取られてはいけない。各社が独自に採用する為替レートが市場のレートに対してどれだけ上乗せされているのか、この点に注目すべきである。このレートを見るには、ログインをし、送金先を選択して、送金金額を入れるまで出てこない事が多い。そのため、弊社が保有しているアカウントで、実際に送金手前まで進むことで送金に関連する手数料と採用している為替レート、支払い先の方が受け取る金額まで丸裸にした。
海外から日本に送金する際の受取手数料を銀行別に比較したい読者の方は「海外送金 「受取手数料」の比較 個人/法人対応」で解説しているので参照して欲しい。
本記事を読んでいただきたい読者
- 個人事業主や法人で海外の取引先に定期的な支払いがある
- 個人事業主や法人で海外から定期的な売上がある
- 家族が国外在住で、日本から定期的に送金している
- 家族が日本在住で、海外から定期的に送金している
- 海外からの小口入金が定期的に発生する
海外送金サービスで弊社が口座を持ち、比較検証した3社
検証した送金国と通貨
- 日本からアメリカ(ドル)
- 日本からオランダ(ユーロ)
銀行の窓口で海外送金するのはもはや過去の話?
これから初めて海外送金をする方、あるいはすでに海外送金を行ったことがある方は、送金手数料が高いと感じたことはないだろうか。
筆者も2000年初頭に海外留学をした際に、銀行の窓口でドキドキしながら送金手続きをした経験がある。当初は、国際送金が特別なことで送金手数料の高さはこんなものか、と受け入れていた。しかし、時代は大きく変わった。
結論から申し上げると、「海外送金手数料」の安さの一択で送金サービスを選択すると、送金側は、安く送ることが出来ても、受取側の金額が想定より減額されることが判明し、送金側の論理だけで考えてはいけないことに気付かされたのである。
正しく送金サービスを選択するためには、海外送金の手数料の種類をまず知る必要がある。これらの仕組みについて、元銀行マンに詳しく聞いたので解説しよう。
「結局、どれが一番安いの?」と結論を急ぎたい方は、送金画面にログインして検証!中国と欧州への海外送金で6パターンから徹底比較へ直接飛んでも構わない。ただ、海外送金時には見慣れない単語に遭遇するため、この機会に事前にインプットしておくと迷わずに送金が行えるのでこのまま読んで頂くことをお勧めする。
送金手数料よりもインパクトのある隠れコストがあった
海外送金には、送金手数料を始めとし、5種類の手数料がある。
海外送金で必要な関連手数料
- 送金手数料
- コルレス手数料
- 受取手数料
- 為替手数料
- リフティングチャージ
海外送金をできるだけ安くしたいと送金者がまず思い浮かべるのが①送金手数料である。しかし、海外送金は受取側の立場も踏まえ、総合的に判断しなければならない。
極端な話、①を業界最安値の価格で設定しても、残りの手数料②〜⑤の費用で安い手数料を補填するかのように相対的に高い金額で課金されてしまえば、最終的に誤った選択を行うことになる。
海外送金手数料が高くなるカラクリとその仕組み
銀行での海外送金の手数料が高額な理由の一つは、複雑なシステムやルートを使用していることへの手数料である。
まずは、海外送金の基本的な仕組みを知ることで、なぜ手数料が高くなるのかを説明しよう。
海外送金とは、海外の銀行口座へお金を振り込むことである。
銀行はSWIFT(スイフト)と呼ばれる仕組みを用いて、海外送金を行うのが主流だ。海外送金を行う際にSWIFTを記入する欄があるのはこのためだ。
世界中の銀行の仲介役となるのが、ベルギーに本部を構える、SWIFT(国際銀行間通信協会)である。
例えば、国内で送金を行う場合は、意識はしないかもしれないが、銀行の銀行である日本銀行に開設している口座を介して資金決済を行っている。しかし、海外の銀行に送金する際には日本銀行のような組織がない。
余談だが、民間団体であるSwiftはEUによる金融制裁の決定を受け、ウクライナ侵攻への制裁としてロシアの大手銀行も2022年、Swiftから締め出し話題となった。
話を戻そう。海外送金をする際にはコルレス銀行という存在を介して決済を行う。○○銀行から海外の△△銀行へ送金をする際に、事前に送金先の△△銀行に情報を伝えなければいけない。しかし、○○銀行から△△銀行への直接的な情報のやり取りは発生しない。
そのため、仲介となるコルレス銀行が、事前に振込先の口座や金額などの情報を中継したうえで送金をする。案の定、ここでコルレス銀行に対する手数料が発生する。日本では、三菱UFJ銀行がコルレス銀行の役割をほぼ担っている。
SWIFTの欠点
SWIFTの仕組み自体は素晴らしいものであるが、いくつか欠点がある。
それは中継となるコルレス銀行が1つでは済まないことが多々あり、時間を要するうえに手数料がその分高額になる点だ。
例:○○銀行→中継銀行1→中継銀行2→△△銀行
海外送金の仕組みは何となく理解出来ただろうか。そのうえで5つの手数料を見ると、その役割がスッと頭に入ってくるはずだ。
元銀行員が解説、絶対に知っておきたい5種類の手数料
- 送金手数料
我々が海外送金をする際のスタート地点となる銀行に支払う手数料である。 国内での振込をする際にも、手数料が発生するが、それと同列と認識して問題ない。送金したい通貨や金額、銀行によっても手数料額が変動するのが一般的だ。
- コルレス手数料
海外送金の仕組みで紹介した、中継役となるコルレス銀行に支払う手数料である。 だいたい、1,000円~3,000円程度必要で、これもコルレス銀行がいくつ中継するかで決定される。
- 受取手数料
資金の受取側の銀行に支払う手数料である。 こちらも送金手数料と同様で、銀行によって変動がある。
- 為替手数料
日本から海外送金する際には、多くの場合は円→外貨への両替をする。 通貨や銀行でレート変動はあるが、その際に発生する手数料である。 海外送金で高いと感じるポイントになるのは、この為替手数料だ。
- リフティングチャージ
円為替取扱手数料とも呼ばれている。 送金をする際に、現地の通貨に両替して送金する場合が多いと思うが、両替が発生しない場合に掛かる手数料である。先ほどの為替手数料を回避しようと、通貨を円のまま送金しても、結局手数料を取られることになるのだ
バカにならない為替レートの手数料
為替レートの市場相場は常時変動している。しかし、銀行は仲値という基準レートを設定して、そのレートから若干の割高レートを設定し、それぞれで手数料が入る仕組みを取っている。
この仕組みが非常にやっかいだ。
送金手数料で既に銀行側へ手数料の支払いをしているはずが、ここでも銀行へ手数料を支払う仕組みになっているのだ。
このレート表記は銀行の窓口に行けば必ずどこかに表記してある。しかし、この表記も若干複雑な表記でわかりづらいので、我々が目をふさぎがちな隠れたコストである。
一般的に、銀行では市場レートに対し1円以上割高なレートが設定されているため、仮に100万円を送金した場合、1円の上乗せによって10,000円の手数料が追加発生することになる。
海外送金が高額になるのは、これら複数のキャッシュポイントが存在し、抜け目なく徴収されるためだ。
SWIFTは1970年台から始まったシステムで、改善はされてきているが、現代では様々な金融サービスが生まれており、海外送金もその一つである。
ここからは、海外送金をする際に、昨今勢いがあり、弊社でも口座を保有している3社を紹介したい。
海外送金サービスの3社のメリット・デメリット
大手銀行を経由して海外送金をすると、小難しい書類に記入し、高額な手数料を支払うことになることは先ほど申し上げた通りだ。
昨今では、金融の規制緩和に伴い、SWIFTシステムに代わる運用で海外送金を安価に実現出来るサービスも生まれている。
Wiseのメリット・デメリット
メリット
- 手数料が安い
- 着金までが速い
- 両替レートに市場レートが適用され、受取額が他行より多い
デメリット
- 送金手数料が従量課金制
SWIFTの代わりに、自社システムを活用して複雑だった海外送金をシンプルにかつ安価なサービスとして提供している資金移動業者である。仕組みを簡単に解説すると、
送金依頼者→日本Wiseの口座 海外Wise口座→受取人
という流れである。
世界中にあるWise内での資金を融通させているので、実際に日本Wiseに振り込んだ資金は海を越えていない。Wise自体が仲介になり、それぞれの国で国内送金をしているだけだ。
Wiseの最大のメリットは何といっても手数料が安いことだ。国内銀行と比較して最大で7倍安価に利用出来るとホームページではうたっている。
なぜなら、国内送金しているだけなので、先述した高額の「為替手数料」を必要としないからである。為替レート計算は、実際のレート相場で計算されることも大きなポイントだ。
そして、実際に資金が国境をまたいでいないので、資金到着が銀行より早いのも特徴である。
送金金額に比例して、送金手数料も大きくなる点がデメリットだが、送金手数料単体の比較でも銀行より割安だ。Wiseは資金移動業者として、関東財務局からも認定されており非常に強固なセキュリティのもとで、日々海外送金が行われている。
楽天銀行のメリット・デメリット
メリット
- メインバンクが楽天銀行だと海外送金用の資金移動が不要
- 送金手数料は2,000円で一定している
デメリット
- 両替レートが市場レートに上乗せされるため、受取金額が減額
- 管理画面がわかりにくく送金エラーが頻繁に発生する
海外送金サービス業者としては、聞き馴染みのある銀行の一つではないだろうか。銀行からの海外送金にはコストが掛かると書いてきたが、ネット銀行だからこそ出来るサービスもある。
楽天銀行の特徴は、送金手数料が他の銀行として比較して、750円と安価なことだ。窓口のないネット銀行だからこそ、実現出来る価格である。しかし、だ。楽天銀行のWebサイトを見ると、上で説明した円貨送金手数料、海外中継銀行手数料(コルレス手数料)が含まれる。

普段から楽天銀行をメインに使っている方には、資金移動や複雑な書類を書く必要がないのでおススメかもしれないが、この表を見る限り、最低でも1,750円のコストがかかることになる。
PayPalのメリット・デメリット
メリット
- 送金側の手数料は個人、法人ともに少額
- 世界中で普及している
デメリット
- 受取側が送金側に代わって手数料を負担するモデル
- 両替レートが市場レートに大きく上乗せされ、受取額が減額
PayPalはアメリカのペイパル社が提供するサービスである。
他の資金移動業者と違い、海外通販や海外サイトでのショッピングでの決済に重きを置いている。
クレジットカード決済に対応していない、小規模サイトとの決済にもPayPalを使えば買い物が出来る。
ペイパルの支払いでは受取側にクレジットカードの情報は提供されないので、海外のサイトは少し不安という方にも安心して利用出来る。
アカウントも個人向けと事業者向けの2種類がある。事業者向けは購入だけでなく、販売も可能だ。
あくまでも決済サービスがメインだが、クレジットカードを使用した資金のみの移動も可能である。海外通販や海外との商品の取引をする際の決済サービスとしてはてうってつけだろう。
送金画面にログインして検証!アメリカと欧州への海外送金で6パターンから徹底比較
これから2つの送金パターンで、どの海外送金サービスが総合的に経済的だったのかを検証したい。
- 10万円をWise、楽天銀行、PayPalで送金する(送金通貨:円、受取通貨:ドル)
- 50万円をWise、楽天銀行、PayPalで送金する(送金通貨:円、受取通貨はユーロ)
検証① 10万円をドルで送金する
検証①-1:Wiseで10万円をドル送金する

上記に為替レートは1ドル143.67円と表記されている。実際の為替レートをGoogleでリアルタイムに調べると、ほぼ誤差がなかった。

検証①-2:楽天銀行で10万円をドル送金する

為替レートは市場レートよりも1ドルあたり2.61円分上乗せされていた。
検証①-3:PayPalで10万円をドル送金する

検証①結果:10万円をドル送金するとWiseが最もお得だった。
Wise | 楽天銀行 | PayPal | |
---|---|---|---|
送金額(円) | 100,000 | 100,000 | 100,000 |
手数料(円) | 938 | 2,000 | 0 |
送金額合計(円) | 100,938 |
102,000 | 100,000 |
最小手数料との比較(円) | 595 | 1,200 | 最小手数料 |
為替レート(USD) | 143.67 | 146.57 | 150.06 |
受取額(ドル) | $689.49 | $682.27 | $669.39 |
最大受取額との差額(ドル) | 最大受取額 | $7.22 | $20.1 |
検証①まとめ
- 受取額はWiseが楽天銀行より$7.22(1,039円)、PayPalより$20.1(2,893円)多い
- Wiseが楽天銀行より合計2,101円(1,039円+1,062円)、PayPalより2,893円お得なことがわかった。
検証② 50万円をユーロで送金する
検証②-1:Wiseで50万円をオランダに送る

検証②-2:楽天銀行で50万円をオランダに送る

為替レートは1ユーロ166.81円で取引されている。相場の1ユーロ163.29円よりも3.5円高く設定されていることがわかる。
検証②-3:PayPalで50万円をオランダに送る

為替レートは1ユーロ=155.62円と市場相場よりも7.6円も高く設定されている。
検証②結果:オランダに50万円を送金するとWiseが7,214円〜最大18,125円お得だった。
Wise | 楽天銀行 | PayPal | |
---|---|---|---|
送金額(円) | 500,000 | 500,000 | 500,000 |
手数料(円) | 3,413 | 2,000 | 0 |
送金額合計(円) | 503,413 | 502,000 | 500,000 |
最小手数料との比較(円) | -3,413 | -2,000 | 最小手数料 |
為替レート(1EUR) | 163.26 JPY | 166.81 JPY | 170.61 JPY |
受取額(ユーロ) | 3,041.60 | 2,997.42 | 2,930.60 |
最大受取額との差額 | 最大受取額 | 44.18 EUR | 111 EUR |
検証②まとめ
- Wiseは3,413円の送金手数料は発生するが、受取額が他行よりも最大111ユーロ(18,125円)の差が生まれた。
- 楽天銀行は送金手数料が2,000円に対し、受取額が最大のWiseよりも44.18ユーロ(7,214円)少ない。
- PayPalは送金手数料は0円だが、為替レートが最も悪く、受取金額が最大金額のWiseに比べて111ユーロ(18,125円)も減額された。
為替レートは1ユーロ=163.29円で設定されている。
最も安い海外送金サービスは迷わずコレ
本記事では、海外送金の基本的な仕組みと弊社が口座を持つ海外送金サービス3社を紹介した。送金側も受取側も1つの財布として見た場合に、最も経済的な海外送金サービスはWiseの一択だった。本記事は数年毎に送金手数料を検証しているが、今のところWiseが最もリーズナブルで、積極的に活用をしている。