訪日外国人

訪日スペイン人が魅了される観光名所と歩み始めた日本版・聖地巡礼


知り合いのスペイン人夫婦がハネムーンで日本に旅行に来ました。日本人から見たスペインは旅行先としてはとても人気で、年間50万人近くがスペインを訪れています。今回のように、スペインから日本に来る訪日スペイン人はそれに比べてまだまだ少ないのが現状ですが、近年じわじわと増えて来ています。日本政府は、これまでアジアに偏りがちだった日本のプロモーション活動を欧米豪でも強化していく方針です。

スペインと訪日観光客
人口 4,645万人
首都 マドリード
言語 スペイン語
訪日数 91,800人(第19位)
1人当たりの旅行支出 22万4,000円(第3位)

今回は、弊社のパートナーで旅行メディアを運営するビートリズさんにスペイン人が注目している日本の人気スポットや魅力について寄稿して頂きました。

マドリード在住スペイン人に聞く、日本をどう見ている?

私たちスペイン人にとって日本といえばすぐに思い浮かぶのは、マンガ、映画、日本食、武士道、相撲に代表されるような多様性に富んだ文化です。そんな非日常に見えるカルチャーは、日本人の日常にどんな形で溶け込んでいるのか興味津々です。信じられないかもしれませんが、忍者や芸者たちは今でも街の中で闊歩しているのかと想像を巡らせてしまうほど、日本という国は私たちにとってミステリアスで謎めいている国です。私たちが共通して持っているイメージは、まるで別の惑星とでも言いましょうか、どの外国とも似ても似つかないオリジナリティーが高い国です。

日本人にもとても興味があります。例えば、街中で大勢の人たちがスーツ姿で歩いているのはスペインでは見られない光景です。1つ1つのモノが小さく可愛く感じられ、変だと思われるかもしれませんが、動物と触れ合えるカフェがあるなんて最高です。東京都の中でも場所によって独自のアイデンティティーが感じられます。自動販売機や自動ドアは、まるで近未来を先取りして生活しているような感覚なのです。治安もいいですよね。

西洋文化に染まらずに独自の風習を持っていること、日本人がとても親切で丁重な対応をすること、自然にも敬意を払っていることなどが日本を高く評価しているポイントだと思います。

スペイン人が訪れる“日本版”聖地巡礼

スペインには、世界遺産に登録された「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」があります。スペイン人にとって宗教的な意味合いだけでなく、自分と向き合うための旅として人気があります。異国の日本でこれに相当するのが、熊野古道や四国遍路の巡礼です。

スペインと日本の聖地巡礼比較
聖地巡礼 立地 距離 年間歩行人数
サンティアゴの道 スペイン、ガリシア州 全長800km 27万人
熊野古道 三重県、奈良県、和歌山県、大阪府 全長170km 40万人
四国遍路 香川県、高知県、徳島県、愛媛県 全長1,400km 20〜30万人
[colwrap] [col3]サンティアゴの道サンティアゴ・デ・コンポステーラ[/col3] [col3]熊野古道熊野古道[/col3] [col3]四国遍路四国遍路[/col3] [/colwrap]

世界遺産は通常、文化財や建築物に認定されるものですが、世界に2つだけ「道」に認定されているのがスペインのサンディアゴの道と日本の熊野古道です。そのため、和歌山県田辺市とスペインガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラ市は2015年に観光交流協定を締結しています。

訪日スペイン人向けメディアで大きく脚光を浴びた「高山」の特集

スペイン人向けの日本に特化した観光メディア「ジャポニスム」で、2015年3月に投稿された「高山の見どころ」がソーシャルメディアで1,300回以上シェアされています。ちなみに、ジャポニスムとは過去にヨーロッパで見られた日本趣味のことを指しています。

訪日スペイン人向けメディア

高山の見どころの要点
・日本アルプスといった自然や古き街のたたずまいが人気の理由
・江戸時代から残っている建造物や旅館や酒蔵
・滞在日数は1.5〜2日がおすすめ
・見どころ紹介:日下部民芸館、吉島家住宅、飛騨民俗村、飛騨民族考古館、平田記念館、藤井美術民芸館、飛騨国分寺、高山神社
・祭り:春の山王祭
・お土産:飛騨春慶(漆器)、さるぼぼ(人形)
・これは食べたい:飛騨牛、朴葉味噌(ほうばみそ)

高山は「日本の田舎」というキャッチコピーで旅行代理店から販売されています。高山の一番の見どころは日本の江戸時代の素晴らしい建物が保存されている歴史センターや、山岳地帯だと思っています。木造の伝統的な住居や酒造や古い寺院など「伝統的な日本」の雰囲気全てが凝縮されているようで賞賛されています。

スペイン人は白川郷も是非訪れたいスポットの1つで、高山は白川郷を訪れるための通過点となっています。古い様式の家で実際に宿泊したいのです。都会よりもリーズナブルな値段で伝統的な住居を体験したり、畳の上で寝たり、お風呂に入ったり、浴衣で町を歩いてみたいのです。

高山は田舎の日本を探検するというイメージがあり、自然あふれるアルプス周辺を旅行するためのスタート地点としてふさわしいのです。春に訪れる人は4月14日、15日に開催される山王祭は見どころの1つです。

高山市を訪れた外国人観光客
高山市訪問 訪日人数 訪日に占める割合
1 台湾 74,396 4,167,500 1.79%
2 香港 38,190 1,839,200 2.08%
3 タイ 30,402 901,500 3.37%
4 中国 17,135 6,372,984 0.27%
5 アメリカ 16,914 1,242,705 1.36%
6 オーストラリア 16,877 445,200 3.79%
7 スペイン 16,084 91,800 17.52%
8 シンガポール 12,115 361,800 3.35%
9 マレーシア 11,285 394,300 2.86%
10 イギリス 10,982 292,467 3.75%

出所:平成27年 観光統計(高山市)、日本政府観光局(JNTO)

スペイン人に人気のあるその他の観光地

京都(散策、哲学の道、聖域や寺院)
大阪(スペイン人はこの地域の食べ物が好きで、人柄も東京と違って面白いです)
広島 、富士山、奈良、長崎 、九十九里 、川崎 、十和田(青森)、中山道(なかせんどう)、沖縄
箱根 、神戸 、斑鳩 (いかるが、奈良)、宮島 (広島)、天橋立 (京都)、松島 (宮城)、金沢 (石川)、松本城(長野)

旅行代理店は、一般的には二週間以上時間がある旅行者には東京、京都、広島、宮島、高山、白川郷、金沢を巡るスタンダードなプランをお勧めしています。

日本旅行は、高いというイメージが今でも根強い

スペイン人は、日本の物価は高いと思っているので、費用の予測ができず地団駄を踏んでいる潜在的な旅行者は多いと思います。実際には先ほど紹介したブログや、掲示板などで活発に情報交換し、上手に計画を立てさえすれば費用を浮かせることが出来るのです。

2011年の震災によって生じた心理的な影響は今でも残っていますが、スペイン人の訪日観光客は戻ってきているように思います。またスペインと日本が一緒になって聖地巡礼のツーリズムを促進しているので、今後ますます増えていくことでしょう。


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ビートリズ・アフォンソ

ベネズエラで生まれ。2003年にスペインへ移住しマドリードのケント大学を卒業。現在、旅行メディアと調査の仕事を手がけている。

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