訪日外国人

訪日旅行を検討する153名のイタリア人の本音と今後のトレンドを独自調査


イタリア人の日本旅行に関わる具体的なニーズを知るため、20-30代の若者を中心に独自調査を行いました。すると、旅行手配の方法だけでなくイタリア人の趣向も大きく変化していることが分かりました。本記事は、イタリア人向けマーケティング専門家エリアナ・ビルトゥオーソの協力のもと記事を制作しています。

イタリア人と訪日観光客
人口 6,070万人
首都 ローマ
言語 イタリア語
訪日数 119,200人(第17位)
1人当たりの旅行支出 198,001円(第4位)

2015年、訪日イタリア人観光客は初めて10万人を超えました。JNTO(日本政府観光局)によると、2016年は11万9,200人のイタリア人が日本を訪れました。

イタリア人観光客のおよそ40%は、26歳から35歳が占めています。旅行のハイシーズンは8月から12月で、主な行き先はヨーロッパから地中海沿岸の国々です。お得なプランがあれば、ヨーロッパから出ることもしばしばあります。一般的にはクリスマスシーズンは家族と一緒に過ごす傾向にありますが、18歳から25歳の若者たちは、友人たちと目新しいエキサイティングな場所へ出かけて年末シーズンを楽しむことも多いようです。

5年間で3,400社の旅行会社が倒産するイタリア、その背景は?

ここ数年の傾向として、イタリア人は自分たちで旅行を企画することが多く、インターネットで情報収集しています。5年前、イタリアには1万2,000社の旅行会社がありましたが、2016年初頭ではその3割近くの3,400社が倒産しました。経済情勢の変化やインターネットの普及によって、旅のプロセスが大きく変わっています。今までのスタイルの旅行会社が必要とされなくなっていることを如実に示しています。

日本を旅行先とするイタリア人は着実に増えています。彼らは、「お寿司」や「サムライ」といったステレオタイプなイメージで日本を見るのではなく、歴史があり景観が素敵な国だと感じるようになっています。若いカップルは新婚旅行の行き先で日本を選択する傾向にあります。

では日本のどの地域に興味を持っているかというと、やはり東京は外せないと考えているようです。まず、イタリア人たちは東京で数日過ごし、京都や食の街、大阪へと移動します。美しい海に囲まれた沖縄も次いで人気があります。(出所:http://www.ilsole24ore.com)

イタリア語で「日本・旅行」の検索トレンドを読み解く

過去5年間(2012年3月〜2017年3月)に「日本 旅行」(イタリア語:Viaggio Giappone)の組み合わせで検索しているデータを見ると、少しずつ増加していることがわかります。

過去5年間の「日本旅行」(イタリア語)検索トレンド
過去5年間(’12年3月〜’17年3月)に「日本 旅行」(Viaggio Giappone)で検索された傾向(出所:グーグルトレンド)

過去1年間(2016年3月〜2017年3月)を遡ると、増減はゆるやかながら1月、3月、8月がピークであることがわかります。

過去1年間の「日本旅行」(イタリア語)検索トレンド
過去1年間(’16年3月〜’17年3月)に「日本 旅行」(Viaggio Giappone)で検索された傾向(出所:グーグルトレンド)

イタリア国内の検索ボリュームの地域トレンドをビジュアル化する

もう少し掘り下げていきましょう。次の表では、イタリア国内で「日本旅行」を探している地域にスポットライトを当てます。

過去5年間と直近1年間で起きている変化

[colwrap][col2]2012年3月〜2017年3月イタリア人 SEO調査(2012年3月〜2017年3月)[/col2] [col2]2016年3月〜2017年3月イタリア人 SEO調査(2016年3月〜2017年3月)[/col2] [/colwrap]

過去5年間(2012年3月〜2017年3月)では、イタリアのピエモンテ州やトスカーナ州で高い需要がみられますが、過去1年間(2016年3月〜2017年3月)ではシチリア島やカンパーニア州といったイタリアの中で最も歴史ある地域での検索需要が急増しているのです。これは日本イコール「寿司・サムライ」といった先入観から、変化してきている一つの根拠と言えるでしょう。

イタリア国内(州)
2012年3月〜2017年3月 2016年3月〜2017年3月 変動順位
1 ピエモンテ州 /100 1 トスカーナ州 /100 +1
2 トスカーナ州 /90 2 シチリア州 /88 +7
3 ロンバルディア州 / 89 3 ロンバルディア州 /82
4 エミリア=ロマーニャ州 / 87 4 カンパーニア州 /81 +3
5 ラツィオ州 / 77 5 ピエモンテ州 /79 -4
6 ヴェネト州 / 77 6 エミリア=ロマーニャ州 /70 -2
7 カンパーニア州 / 74 7 ラツィオ州 /69 -2
8 シチリア州 / 73 8 ヴェネト州 / 62 -2
9 プッリャ州 / 64 9 プッリャ州 / 58

 

「日本・旅行」とセットで検索されているトピックや関連用語
関連トピック 関連単語
1 東京 1 日本に旅行
2 8月 2 日本で新婚旅行
3 京都 3 日本の旅行計画
4 大阪 4 日本旅行 値段
5 沖縄
6 Japan Rail Pass

関連トピックを見ると、訪日外国人が利用できる「Japan Rail Pass」が出てきます。これは自分が目指す目的地は、どのような交通手段やルートで向かったら良いのか調べていることが分かります。興味深い結果として「新婚旅行」が挙げられますが、イタリア人の若者たちはこれまでとは違った日本の魅力を探しに出かける絶好なタイミングなのでしょう。

イタリア人153名に「日本旅行」についてナマの声を独自調査

フェイスブックグループのイタリア人コミュニティーの方々に、日本旅行に関心のある153名(男 61 /女91 /不明 1)にアンケート調査を実施しました。イタリア人全員の趣向を代表する結果ではないかもしれませんが、インターネットを駆使して旅行企画を立てている点では多くの示唆に富んでいます。

調査の属性

イタリア人調査 属性

旅行者としてのアイデンティティーを答えてください

イタリア人調査 アイデンティティー

調査に協力してくれたメンバーのうち、53.6%は自分のことを自分で物事を決められる旅行者だと考えていて、友人や家族と一緒に出かけています。一方、わずか5.2%の人たちが旅行代理店を利用すると答えています。

旅行の情報収集に利用するチャネルは?

イタリア人の情報収集チャネル

旅行先を決める手がかりとなるポイントは?

イタリア人が1番重要視しているのは、地域のアートや文化や歴史ある建造物や町並みです。2番目に重要なのは、予算です。贅沢なツアーをしない限り、予算はできるだけ抑えたいと考えています。3番目は、様々な体験や、楽しむことができる場所であるどうかです。

イタリア人が旅行先を決める際のポイント
順位 見所 回答数 順位 見所 回答数
1 歴史・文化 100 11 旅の目的 13
2 旅行費用 54 12 アクティビティー 12
3 魅力的なスポットがある 51 13 ふれあい 12
4 知名度 39 14 まだ訪れたことのない場所 11
5 景色 32 15 交通の便 10
6 食事 22 16 多様性 10
7 気候 17 17 快適さ 8
8 自然 17 18 言葉 6
9 空き状況 15 19 その他 13
10 治安 14 14

日本のどこに一番ひかれますか?

イタリア人はまず、日本の多様な文化に出会えることに大変興味があります。魅力的なスポットの発見、美しい景観に囲まれ、その土地に根付いた食に触れる、こんな場所をイタリア人は求めています。面白いことに、日本語をこれまで勉強したことがないのにも関わらず、日本語が好きです。特に、漢字やひらがなには強い関心を持っています。2番目は、日本社会についてです。いつも清潔に保ち、効率よく動かすシステムについて興味があります。時間通りに進捗し、滞りのないようにお互いに協力し合っている姿に興味があるのです。3番目は、日本食です。イタリアで日本食といえば、高級食材の代名詞ですから、現地に赴いてその原点に触れてみたいのです。

イタリア人は日本のどんなところに興味がありますか
項目 回答数 順位 項目
1 文化・歴史・言語 142 7 技術・近代的な仕組み
2 効率性・秩序・礼儀作法・風習 76 8 アート・デザイン
3 食事 57 9 伝統と現在のコントラスト
4 自然・景色 52 10 スピリチャル
5 伝統 36 11 漫画・アニメ
6 32 12 治安

日本の嫌いなところは?

日本の効率的なシステムは、イタリア人が好きな日本の2番目にランクインしていました。矛盾するようですが、それが心配ごとでもあり行き過ぎているのではないかと懸念しています。毎日のルーティーンは、過剰労働やストレス、幻覚なルール、強い緊張感で縛られているようにも見えます。

イタリア人は日本のどんなところが嫌いですか
順位 項目 回答数 順位 項目 回答数
1 厳格なルール 17 11 大都会 6
2 ストレス疲れの人々や過労気味な会社員 17 12 食事 3
3 意思疎通が難しい 11 13 喫煙に規制をかけるべき 3
4 物価が高い 9 14 汚染 2
5 規則が多い 7 15 原発 2
6 クジラやイルカの屠殺 7 16 ATMの利便性 2
7 外国人を恐れている 7 17 地震 1
8 男女差別 7 18 特になし 48
9 社会的な関わりが薄い 6
10 形式的 6

日本をどうやって知る?

1970年代からアニメが少しずつ知られ始め、以来漫画やアニメが日本にふれる最初の接点となっています。2番目には日本映画、書籍、日本食と続きます。

イタリア人は日本をどうやって知りますか
順位 項目 回答 順位 項目 回答数
1 漫画・アニメ 68 6 友人からの話 10
2 映画 28 7 日本アート 4
3 26 8 言語 4
4 食事 22 9 テクノロジー 4
5 柔道・武術 12 10 音楽 2

日本に旅行する際に一番の心配事は?

コミュニケーション(言葉)です。66%が「言葉」だと回答し、25%は「予算的な問題」だという回答が得られました。

日本で絶対に訪れたい場所は?

イタリア人調査 日本で訪問したい場所

実に70箇所以上のスポットが挙がり、多種な結果となりました。
やはり東京は125人、京都は103人、次いで多かったのが広島で55人です。次いで大阪、奈良、沖縄と続きました。

他には、北海道や富士山、宮島、日光、鎌倉、金沢、姫路、名古屋、福岡、高山等の地域を指名していることも大変興味深い結果となりました。

イタリア人に人気のある日本周遊プラン

1. 定番ツアー:東京-金沢-京都(14日間)

  1. 東京:都心巡りの後に日光、鎌倉、川越へ
  2. 金沢:市内巡りの後に高山、白川郷へ
  3. 京都:中心地から奈良へ出かける

2. 過去から未来をめぐる (16日間)

  1. 東京:都心巡りの後に日光、鎌倉、川越へ
  2. 金沢:市内巡りの後に高山、白川郷へ
  3. 京都:中心地から奈良へ出かける
  4. 大阪:中心地から奈良、高野山へ

3. 史跡をめぐる (15日間)

  1. 東京:市内観光、日光
  2. 金沢:市内巡りの後に高山、白川郷へ
  3. 京都:市内観光、奈良
  4. 広島:市内観光
  5. 宮島:市内観光

4. 定番+琉球 (14日間)

  1. 東京:市内観光、日光
  2. 京都:市内観光、奈良
  3. 琉球:石垣島、沖縄

5. 自然と伝統(14日間)

  1. 東京:市内観光、日光
  2. 箱根:市内観光、富士山
  3. 金沢:市内巡り
  4. 京都:市内観光
  5. 大阪:市内観光

まとめ

今回調査に協力してもらった153名のうち、25名は日本の田舎や関心を持っていて、都会よりも地方に関心があることがわかりました。何故かというと、イタリアには東京に比する大都市は存在しないので混雑し、せかせかした場所はあまり好きではないようです。また、日本の観光地を周遊できる企画を作っている旅行会社は特にローマやミラノを中心に増えています。


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エリアナ・ビルトゥオーソ

異文化コミュニケーションを専攻、イタリア国内の企業でコピーラティングとマーケティングの業務携わる。現在、旅行関連の調査やライターとして活躍中。

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